こんにちは、ロタケです。
こんにちは、ロタケです。
9月のシルバーウイークを利用して、前回ガスで視界のなかった間ノ岳と北岳を結ぶ3,000mの天空の稜線にリベンジしました。
一ヶ月前は広河原から北岳、間ノ岳を往復するルートでしたが、今回はシルバーウイークど真ん中ということもあり、人気の北岳周辺での宿泊は避けたいところ。
そこでキツいルートですが、奈良田から農鳥岳を経て、色々と噂のある農鳥小屋で一泊。翌日、間ノ岳をへて広河原に下りるルートに挑戦しました。
行程
2015/9/20(日)~9/21(月)
「行程」
【1日目】晴れ
奈良田(04:30)・・・奈良田第一発電所(農鳥岳登山口)(05:00)・・・吊橋(森山橋)(05:20)・・・大門沢小屋【休憩 10分】(07:30)・・・大門沢下降点【休憩 20分】(10:40)・・・農鳥岳【休憩 20分】(11:45)・・・西農鳥岳【休憩 20分】(12:45)・・・農鳥小屋(13:30)
【2日目】晴れ・強風
農鳥小屋(05:15)・・・間ノ岳(06:35)・・・中白峰(07:45)・・・北岳山荘【休憩 10分】(08:00)・・・八本歯のコル【休憩 10分】(09:10)・・・大樺沢二俣【休憩 10分】(10:52)・・・広河原(12:03)
「コースタイム」
標準:1,075分 、今回:848分(コースタイム倍率0.79倍)
地図
「概要」
水平移動距離 約23.4km 積算標高差上り:約3,500m下り:約2,809m
アクセス度(横浜から車です)★★☆☆☆
「分かり易さ」
横浜からは登山口の「奈良田」までは約3時間の道のりです。私の場合は、行きは中央道から、帰りは東名経由でアクセスしてみました。どちらも距離的にはあまり変わりませんが、下道を走るのが少ないのは中央道からの道。なので特に渋滞する時間じゃなければ、中央道経由をおすすめします。
道は迷うところはないと思いますが、身延付近からの奈良田までの県道37号線はクネクネ道が延々と続きます。運転が嫌いな人には大変かもしれません。
「道路状況」
最後までしっかりと舗装されています。
「駐車場混雑度」
奈良田バス待合所付近の第1駐車場(27台)と、さらに奥に500mほど進んだ先にある第2駐車場(350台)があり、私は登山口に近い第2駐車場にとめました。
シルバーウイークのど真ん中。連休初日の朝4時に駐車場に到着しましたが、駐車場の埋まり具合は40%程度だったと思います。結構広い駐車場なので、混雑時でも駐車できないってことはないと思います。
帰りは広河原からの奈良田行きのバスで帰ってきます。第2駐車場から500mほど行き過ぎた第1駐車場前がバス停なので、「疲れた足で500m歩かないと」と覚悟していたのですが、ちゃんと第2駐車場前でも停めてくれました。
危険度★★★☆☆
岩場などの危険個所は少ないですが、奈良田から大門沢下降点までは、川を何度も渡ります。しかも手作り感満載の丸太の木が渡してあるだけのところも多く、濡れていたり、増水時は危険度が増すと思います。
農鳥岳から西農鳥と、間ノ岳から中白峰の一部で簡単な岩場があり少しヒヤッととしますが、慎重に行けば大丈夫だと思います。
体力度★★★★★
広河原から奈良田へ抜けるルートの方が700mほど標高の高いところからスタートできるので、普通の人はそちらからのルートを選ぶみたいです。わざわざ奈良田から歩く道を選ぶ人は、間違いなく「ドM」だと思います。
「ドM」の私が今回行った奈良田からのルートだと、初日の宿泊地「農鳥小屋」まで11時間近いコースタイムとなり、かなりハードなルートになります。標高差2,000mを一気に登ることになるので、日本三大急登と遜色ありません。体力に自信のない方は途中の大門沢小屋で1泊されることをおすすめします。
2日目の農鳥小屋から広河原もコースタイムで7時間程度の行程です。初日の疲労が襲い掛かってくるので、ここも辛いです。いかに初日の疲労を2日目に残さないかということがポイントになってくると思います。私は初日の疲労から、2日目はヘロヘロでした・・・(^_^;)
混雑度
「登山者遭遇度(10段階で表記)」
奈良田~農鳥岳 人3、 農鳥岳~間ノ岳~北岳山荘 人7、北岳山荘~広河原 人9
小屋情報
「農鳥小屋」
今回このルートにしたのは、かの有名な「農鳥小屋」に泊まりたかったというのが理由の一つです。
「農鳥小屋」と入れてネット検索すると、色々と面白い記事が出てきます。
オヤジに怒られたとか、トイレが垂れ流しだとか、食事が一汁一菜だとかという内容で、賛否両論渦巻いています。
トイレが垂れ流しというのと、食事が一汁一菜というのはちなみに本当でした。
「農鳥オヤジ」が登山者に対して怒っている現場も目撃しましたが、夕方4時以降に到着した登山者に対して、「もっと早くに到着しなさい!!」と言う内容のお小言でした。
すでに小屋に到着していた登山者の間からは、「怒られて当たり前だな」という声があがっていましたし、私も同じ意見でした。
「農鳥オヤジ」の言葉は多少荒いかもしれませんが、登山者の安全を考えた上での発言なので、私は全然受け入れられる内容でした。
ただ個人的には夕飯が、「ひじきとしいたけの煮物」と「漬物」をおかずに「ご飯」を「味噌汁」で流し込むスタイルなので、「しいたけ」が唯一苦手な私にとってはかなり辛い夕飯となりました。(^_^;)
お腹に何か入れておかないと翌日の行動に差し支えるので、必死で食べましたが、次回からは自炊するかもしれません・・・。
宿泊スペースは、シルバーウイークということもあり、ほぼ満杯でした。ただ、一つのふとんに一人で寝られたので、スペース的には十分満足できました。ただ寝具が薄っぺらいのと、すきま風が入ってくるので、防寒対策はしっかりとしておいた方がいいと思います。
おすすめ度★★★★☆
北岳の方から農鳥岳の方に縦走する人の方が多いと思いますが、私は絶対に逆ルートをおすすめします。
奈良田からのルートは、体力的にはキツくなってしまいますが、延々と続く深い森と水量豊かな川を眺めながら黙々と登っていく感じが、懐の広い南アルプスを「嫌というほど」体感できます。
その長い、長い森林歩きの末にたどり着いた農鳥岳。そこから眺める間ノ岳、北岳の姿は圧巻以外の何物でもないです。
農鳥岳以降のルートでも、雄大な間ノ岳と綺麗な形をした北岳を常に視界に入れたまま登山ができるので、飽きることもありません。
小屋での快適さを求める方には向かないかもしれませんが、南アルプスを堪能できるという点ではピカイチのコースだと思います。
ロタケの登山日記(個人的な振り返りなので、読み飛ばしてやってください)
1日目:自宅から奈良田まで
夜の1時45分に自宅を出て、中央道経由で奈良田に向かいます。中部横断自動車道を利用することも考えましたが、夜中で交通量も少ないので、中央自動車道を甲府南で下りて、高速代をケチり、ここから下道で身延に向かいます。
身延から県道37号線に入ると川沿いのクネクネ道が始まります。これがちょっと長い。私は運転が好きな人なので、苦にならなかったですが、「運転が苦手な人は大変だろうなぁ」と思いながら、快調に飛ばします。45分近くクネクネ道を走ったでしょうか、さすがに疲れてきたころにやっと登山口の奈良田に到着です。
第1駐車場は車でいっぱいだったので、第2駐車場に向かいます。ここはシルバーウイーク真っ只中にも関わらず、全然余裕で停められました。
本日の行程は、コースタイムで約11時間。しかも小屋への到着が遅れると、農鳥オヤジのお説教がまっているので、まだ真っ暗ですが、急いで出発します。
1日目:奈良田~大門沢小屋
奈良田からは、しばらく舗装された道を歩き、発電所の横から砂利道に入ります。まだ真っ暗でしたが、道もしっかりしており、迷う感じはありません。
工事個所を抜けると、やっと登山道らしくなってきます。吊り橋を何度か渡りますが、しっかりした作りで不安は感じません。大門沢小屋までは川沿いの道を地味に登っていく感じで、傾斜は急ではありませんが、ただただ長いです。
ただこのあたりの鬱蒼とした感じは、個人的には好きな雰囲気です。
何度か怪しげな丸太の橋を渡りながら進み、さらに少し登ると大門沢小屋に到着です。
1日目:大門沢小屋~農鳥小屋
大門沢小屋からしばらく歩くと、一気に傾斜が急になってきます。
このあたりからは徐々に目指す稜線が見えてきますが、はるか高方です。たまに下ってくる人とすれ違いましたが、傾斜が急すぎて、下りでも皆さん苦労されていました。
また、この登りで2人ほどの登山者を追い越しましたが、
「こんな大変なルートを選んで、案の定、大変な目にあっている」
ということに妙な親近感が湧いてくるのか、普段はあまり他の登山者の方には声をかけないのですが、
「大変なルートを選んでしまいましたねぇ~」
「はんぱない登りですねぇ~」
「いったいいつになったら稜線にでるんでしょうねぇ~」
「農鳥のオヤジに怒られないように到着できますかねぇ~」
などなど、自然と慰めあう感じになってしまいます。
ただそうは言っても、下る人はいても、登る人はほとんどいないこのルート。結局は黙々と稜線を目指すことになります。
ようやく大門沢下降点に到着して、「よし、これで登りは終わりだ!」と座り込み、森林限界の岩々しい景色を堪能します。
ほんの少し前まで木々の間を歩いていたのに、一気に視界が開けて、眩い世界が広がっています。
しばし休憩してから、農鳥岳に向かいます。
ただココ、微妙に登ります。一旦、「登りは終わりだ!」と気を抜いてしまっているので、この短い登りが一番堪えたかもしれません。
農鳥岳の頂上はかなりの人で埋まっていました。多少雲はありますが、間ノ岳の異様にも感じるほど大きな姿が目の前に広がっています。さらにその奥には特徴的な北岳の雄姿が拝めます。
まだ時間は12時前で、農鳥のオヤジに怒られることもありません。山頂からの景色をじっくりと堪能してから、農鳥小屋に向かいます。
1日目:農鳥小屋
農鳥小屋への到着は13:30。農鳥小屋のオヤジに怒られることもなく、無事に受付を済ませます。さっそく翌日の水を汲みに水場へ向かいますが、ちと遠い。往復20分というところでしょうか。疲れたカラダにはこたえます。
小屋に戻ってまったりしていると、農鳥オヤジの動きをついつい目で追ってしまいます。
夏の最盛期にはアルバイトがいるらしいのですが、今は一人ですべてを切り盛りしているようです。恐らく100名はいると思われる登山客の受付、部屋割り、ご飯の用意を一人でこなしています。
私、学生の時に山小屋でアルバイトをしていたことがあるのですが、その時は100名の登山客に対応するのに7~8名体制だった記憶があります。しかもこの農鳥オヤジ、遅れてきた人へのお説教までこなしています。超人的な働きぶりです。
農鳥オヤジは口が悪いので色々と言われるのかもしれませんが、私からすると「登山者思いのいいオヤジさん」だと感じました。
晩御飯のメインディッシュが、私の苦手な「椎茸」だったのが、唯一の残念ポイントでした。
2日目:農鳥岳~間ノ岳
朝食は前日の到着が早い人から呼ばれるようで、私は2順目の4時過ぎでした。
朝食を食べ終わったころに農鳥オヤジが、「今日は綺麗な朝焼けだぞ」と教えてくれたので、小屋の前から朝日の昇る方向を眺めます。
真夏と違って空気が澄んでいるので、遠くの山々まで綺麗に見えています。しばらく眺めていると、雲が赤く染まりはじめ、農鳥オヤジの言った通りに本当に綺麗な朝焼けが広がりました。
ひとしきり朝焼けを眺めてから、目の前の間ノ岳へ登りはじめます。前日の疲労が足に残っていて、まったくと言っていいほどペースがあがりません。
1時間ちょっとかけて、間ノ岳の頂上に立ちました。3週間前に雨で独りぼっちだった山頂とは大違いで、すでに多くの登山者がいます。
前方に目を向けると北岳が全容を現していて、日本第2位の高峰らしい立派な姿を見せています。
後ろを振り返ると、昨日登ってきた農鳥岳が意外にも険しい姿で佇んでいます。西に目を向ければ、仙丈から塩見に向けて立派な尾根が続いており、特に塩見岳の兜を伏せたような姿がすごくカッコよく見えました。
東には、富士山も顔を出しておりどこを向いても絵になる、本当に贅沢な眺めでした。
2日目:間ノ岳~広河原~奈良田
間ノ岳から北岳山荘へは3週間前にも通った道ですが、ガスの中を歩くのと快晴の中を歩くのは雲泥の差です。まさに、ずっと歩いていたいような天空の散歩道でした。
当初は北岳にも登ろうと思っていたのですが、この日履いていたレンタル登山靴との相性が悪く、酷い靴ずれになっていたので、北岳を諦め、八本歯のコルから下山することにしました。
ただ八本歯から広河原への道は、前日からの疲労と靴ズレで、本当に辛い時間となり、広河原についたときは、本当に疲労困憊でした(T_T)。
14時のバスで奈良田に向かい、奈良田で有名な「白根館」のお風呂で疲れを癒してから帰路につきました。
ロタケのワンポイント
農鳥小屋では防寒対策が必要です。寝具が薄いのと、すきま風がはいってくるので、この時期(9月中旬)は相当寒いです。
薄いダウンでは正直きつかったので、寝袋や、ある程度しっかりしたダウンを持参した方がいいかもしれません。
アフター登山
奈良田温泉といえば白根館のお風呂が有名です。私もテレビの日本の秘湯の一つとして紹介されているのを見たことがあります。
とろとろのお風呂で、あまり他にない感じのお湯で疲れたカラダには最高でした。日帰り入浴は時間が限られているのですが、時間があえば是非、とろとろのお湯を体験してみてください。
あとがき
3週間前に行った「雨の間ノ岳」のリベンジでのぞんだ今回の登山。空気も澄んでいて、景色も最高で、本当に行って良かったと思える山旅でした。
ただ準備が悪く、小屋の中で寒い思いをしたことと、靴ずれで大変な思いをしたので、もう少ししっかりとした準備をした方が良かったとも感じました。
この日はいつもの靴を修理に出していたこともあり、生まれて初めてレンタルシューズなるものを履いて登山にのぞみました。
やはり一度も履いたことのない靴で登山に行くのはダメですよね。今までは登山用具にお金を掛けずに、何とか今あるものを使って登山をしていましたが、もう一度装備を見直そうという気になった山行でもありました。
思い立ったら行動の早い私。次の週には登山靴を購入することになります。色々と迷ったのですが、オーダーメイドの登山靴で有名な、「ゴロー」で登山靴を作りました。その話はまた後日に。
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