こんにちは、ロタケです。
今年の夏山は北アルプスの最後の秘境「雲ノ平」と、百名山「鷲羽岳」「水晶岳」を登る旅。
ただ今年の夏は、雨ばかり。
さらに強風も吹き荒れ、泣く泣く予定を短縮しての下山となりました。
2泊3日の山旅で、一度も山頂に登ることなく下山するとは夢にも思わなかったですが、まあ、こんな山旅もたまにはありますよね。
そんな雨と風の山行でしたが、ブログにしたためてみようと思います。
行程
今回のルートは富山県の折立から入山し、
1泊目は薬師沢小屋(コースタイム6時間10分)。
2日目は雲ノ平を抜けて三俣山荘まで(コースタイム6時間5分)。
3日目は鷲羽岳・水晶岳のピストンを予定していましたが、強風と雨にやられ撤退。
小池新道を通って一気に新穂高温泉へ下山する(コースタイム7時間30分)
という、そこそこハードな日程になってしまいました。
2022年8月14日(日)~16日(火)
総距離 36km 累積標高差 上り:約2,906m 下り:約3,151m 。
荷物も少なく、コースタイム倍率は0.8でした。
1日目 : 曇りのち雨
折立(08:20) ・・・ 太郎平小屋(11:20) ・・・ 薬師沢小屋(13:30)
2日目 : 雨
薬師沢小屋(05:30) ・・・ アラスカ庭園(07:15) ・・・ 雲ノ平(08:00) ・・・ 黒部源流徒渉点(10:10) ・・・ 三俣山荘(10:50)
3日目 : 雨 + 強風(稜線は風速20m)
三俣山荘(5:10) ・・・ 鷲羽岳中腹で強風のため撤退 ・・・ 三俣山荘(06:00) ・・・ 双六小屋(07:40) ・・・ 鏡平山荘(09:30) ・・・ わさび平小屋(12:10) ・・・ 新穂高温泉駅(13:30)
地図
アクセス
関西からのアクセスは、東京と違って不便。
登山口「折立」には、富山駅経由で。下山は「新穂高温泉」へ。
往路 : 大阪 → 富山駅 → 折立
入山口「折立」には関西からの直通バスは運航されていません。
(東京からは出ているのですけど・・・)
そこで大阪からは、直通バスでいったん富山駅に。富山駅から折立行きのバスに乗り換えが必要。
チケットの購入は両方とも「発車オーライネット」から。
人気の日付はすぐに埋まるので、早め早めの予約が必須。
ただ、2つのバスの予約開始日が微妙に違うので、よく確認して座席を確保しましょう!
復路 : 新穂高温泉 → 高山駅 → 大阪
下山は新穂高温泉から。
新穂高ロープウェイのバス停から高山駅の濃飛バスセンターへ出て、そこで1日3本の高山から京都・大阪へのバスに乗り換えるのが、時間・金銭的にお得だと思います。
危険度★★☆☆☆
薬師沢小屋手前の木道がコロナのせいで整備が行き届いておらず、腐って落ちていた部分も一部ありましたが、基本的に登山道は整備されており、道はしっかりしています。
またこのルートではクサリ場やハシゴなどの危険個所はありませんので北アルプスの中でも、危険度の低いルートだと思います。
ただ今回の山行では、稜線上はかなりの強風で体感温度はかなり低くなりました。難しいルートではなかったですが、ひとたび荒れるとそこは3千メートルの世界。それなりの装備は必要だと思います。
あと豪雨の予想があり、下山ルート上の沢が渡れなくなる可能性があったため、今回は一気に下山するという判断をしました。小屋での情報収集や無理に登らないといった、状況に合わせた判断力も必要になってくると思います。
体力度★★★★☆
総距離は36キロ。1日目は登って下る。2日目は雲ノ平への急登が待っていて、3日目は距離が長い。疲労も蓄積していくので、体力的にはそこそこキツいルートだと思います。特に普段から運動していない方は要注意です。
混雑度★★★☆☆
コロナ禍の影響から最盛期に比べるとぜんぜん人は少なかったですが、それでも10分も歩けば誰かとすれ違うくらいに人はいました。
ただ山小屋は予約制になっており、人数制限もしているので、今回宿泊した薬師沢小屋、三俣山荘ともに、2人分のスペースを1人で使うことができました。(雨でキャンセルも多かったのも影響してるみたい)
これじゃあ、山小屋の経営は成り立たないのだと思うと少し心は痛むのですが、泊まる身にとっては超快適でした。
山小屋情報
今回宿泊したのは、薬師沢小屋と三俣山荘。それぞれの小屋の情報と、コロナ対策はこんな感じ
薬師沢小屋
川の横に立つこじんまりとした小屋です。1階が食堂や乾燥室、トイレなどの共用スペースで、2階が寝床になっています。
コロナ対策として寝床が2人分づつビニールで仕切られていました。私は2人分のスペースに1人で寝れましたが、隣の方は2人分のスペースで2人になっていましたので、そうなると隣の人とは仕切りなし。狭い山小屋では仕方ないと思いますが、隣に寝る人とは完全に運命共同体ですね。
あとマスク着用はちゃんとされていたと思います。
食事はオーソドックス。味噌汁とご飯がお替り自由となっています。
トイレが洋式なのが、ヤンキー座りできない私にとっては、大変ありがたい。
この小屋、手作り感がとてもイイ感じ。古い小屋なんだけど、従業員の方の愛着が隅々に感じられる。トイレも綺麗だし、手作りの小屋案内なんかもほっこりさせてくれます。
携帯(ドコモ)は圏外でした。たぶんどの携帯も繋がらないと思います。
三俣山荘
鷲羽岳と三俣蓮華岳の鞍部に位置していて、景色の綺麗なことで有名な山小屋です。
作りはとても綺麗。新調したのかな?
食堂が展望の良い2階にあるのも特徴。
名物のサイフォンコーヒーを飲みながら、槍ヶ岳を眺められるって最高ですよね。(今回はガスで何も見えなかったですが・・・(´;ω;`)ウゥゥ)
食事は凝ってます。
夕食はジビエ肉を使ったシチュー。
朝食はジビエのソーセージとサラダと、北アルプスの山小屋の中でも異彩を放っています。
ジビエ肉って苦手な人もいると思うのですが、個人的には臭みもなくて、とても美味しくいただきました。ちなみにご飯、味噌汁はお替り自由です。
コロナ対策として、寝床が2人分のスペースを1人で使うようになっていて、さらにインナーシーツもしくはシュラフを持参して、直接布団に触らないように注意喚起されていました。
マスク着用については、従業員からお客さんへ注意徹底しておられたので、厳格に対応されていると感じました。
ドコモは圏外。鷲羽岳の山腹なら入るらしいです。
登山情報
太郎平小屋の手前、薬師沢小屋の手前、雲ノ平といった箇所で、木道を歩くルートが多かったですが、コロナ禍ということもあって整備が行き届いていないのだと思いますが、腐ってグラグラしていたり、折れていたりというのが、一部で見られました。
完全に固定されているとは思いこまずに、油断せずに歩くようにしましょう。
ワンポイント
私、両手を積極的に使いたい人なので、ストックは基本持ちません。
ただ、今回のこのルート、手で補助が必要な急斜面や岩場・クサリ場がほぼなくて、逆に木道や苔の生えた如何にも滑りやすそうな道が多かったので、ストックを持参した方が絶対に歩きやすいと感じました。
アフター登山
新穂高温泉についたら、バス停にも近い「中崎山荘」の温泉で汗を流すのがおすすめ。
日帰り入浴は900円。ヌメリのある泉質が疲れたカラダを癒してくれます。
休憩どころや食事もできるので、バス待ちにも最適です。
ロタケの登山日記
(個人的な登山日記なので色々と書いていますが、雰囲気が少しは伝わればいいかな。必要のない方は読み飛ばしてやってください。)
1日目:折立~太郎平小屋~薬師沢小屋
大阪からは富山駅でバスを乗り継ぎ、折立まで。
富山駅での乗り継ぎ時間が18分しかないので、バスが少しでも遅れると乗り継ぎできません。
お盆休み直後の土曜日なので心配したのですが、予定通りの到着で無事に乗り換え完了。
折立到着も予定通りの8:10ジャストでした。
折立到着と同時に雨がパラパラと。
レインウエアを着るか迷ったものの、着ずに登山スタート。
しばらくは樹林帯の道をひたすら登ります。午後から雨予報だったのでペースは少し早め。
コロナのせいか、テント山行の方が多いみたい。
想像よりも早いタイミングで樹林帯を抜けると、薬師岳の雄姿がドーンと目の前に。
見晴らしの良い、整備の行き届いた道を進むと、太郎平小屋に到着。
5年前に食べそびれた名物の「太郎ラーメン」をいただきます。
・・・・・名物ってほどでもないか・・・・・・(;^_^A
とひそかに思いつつも完食。
コーラで水分補給をし、薬師沢小屋を目指します。
ここから薬師沢小屋が意外に長い。
一気に急斜面を下り、コロナのせいか整備が行き届かず朽ち果てた木道を慎重に歩く。
予報通りの雨の中、昼過ぎに薬師沢小屋に到着。
小屋の寝床は2人分のスペースで1人。なんともありがたいが、コロナのため、誰も話をしていない。山小屋についたら、周辺の人と話をして過ごすのが定番になっていたのだが、なんだか暇を持て余してしまう。
夕ごはんも、静かに黙食。
夜から雨は本降りに。なかなか寝付けず、1日目終了。
2日目:薬師沢小屋~雲ノ平~三俣山荘
4時に起床。睡眠が足りずに、気だるさ全開。
朝食を黙食で平らげ、5時30分、雨の中、登山開始。
小屋前のつり橋を渡ると、雲ノ平までは400mの急登。
雨が降るとこの登りは沢登りみたいになるって、聞いていたのだけど、そこまでの雨量はない。
滑りやすい急な登り坂を黙々と登ります。
木々が生い茂っていて、苔も生えていて、じめじめ。
なんだか北アルプスじゃなくて、南アルプスを歩いている感じ。
1時間半ほど歩くと傾斜が緩み、木道に。
雲ノ平に入ったみたいだが、ガスガスで視界ゼロ。まさに「雲」の平。
水晶や黒部五郎を眺めてみたかったなぁ~
とか思いながら歩いていると、急に整ったお庭「アラスカ庭園」が出現。
写真だと分かりづらいんだけど、自然の産物とは思えず、ちょっと不思議な空間です。
雲ノ平山荘で栄養補給とトイレをすまし、高校生の時にすっころんで、足を強打し動けなくなった、思い出の雪渓?雪田?を通り過ぎ、雨で水量豊富な黒部源流を徒渉。
一息登れば、雨で視界ゼロの三俣山荘へ到着。
こちらも2人分のスペースを1人で使用。なんともありがたい(^^♪
2階の食堂で、山小屋には似つかわしくない「ミートソースパスタ」をいただきながら外を眺めるも、ガスガス&雨&強風。
小屋の女将さんに、今後の天気を尋ねたところ、明日、明後日と徐々に悪化する予報だとか・・・・(;^_^A
翌日の鷲羽・水晶ピストンが危くなってきた。
夕飯までは談話室で、おしゃべりしながら時間を潰す。
外はずっとガスガスのまま。
夕飯のジビエシチューを美味しくいただき、たまたまやっていた「チェロコンサート」を楽しんで、9時に消灯。
なぜか今日も眠れない。
3日目:三俣山荘~(鷲羽岳)~双六山荘~新穂高温泉
3日目は4時起き。5時の朝食を掻っ込み、5時10分には鷲羽岳に向けて出発。
鞍部を過ぎると、天気予報通り、風速20mほどの強風。雨は小雨で、当然、視界はゼロ。
時折、強く吹くたびに踏ん張りつつ、標高100mほど登ったところで、
なんか全然、楽しくない・・・(´;ω;`)ウッ…
ふと我に返り、山頂を諦め撤退することに。
三俣山荘に戻って、もう一度女将さんに天気を確認したところ、
明日はさらに雨風が酷くなる予報みたい。(小池新道の)秩父沢、渡れないかも
とのこと。
残念やけど、やっぱ下山します。
連泊の予定やったんですけど、すいません、キャンセルしてくださいm(__)m
ここからは心を切り替え、一気に下山に移ります。
三俣、双六は強風の稜線を避けて、巻き道で。
弓折、鏡平、シシウドヶ原を一気に駆け下り、増水前の秩父沢で水浴びをして、一気に下山。
温泉で汗を流してバスを待っていると、土砂降りの雨。
まあ、下山の判断は正解だったかな・・・
と独り言ち、下山してきて残念な気持ちを押し殺す私でした。
それにしても、今回どの山頂にも立ってない。
2泊3日の山旅でここまで天気が悪かったのは初めてかもしんない。
まあ雨の雲ノ平は幻想的だったし、学生の頃にアルバイトしていた鏡平山荘にも立ち寄れたし、山の上でチェロのコンサートも見れた。
山は逃げないんだし、今回行けなかった鷲羽・水晶は来年もう一度トライすればいいかな。
雨でガスで強風で散々だったけど、冷静に振り返ると、そこそこ楽しくて、充実した山旅だったのかもしんない。
よし、そう思おう!
まとめ
今回は、最後の秘境「雲ノ平」をガスガスの雨の中、歩いてきたお話でした。
本当は雲ノ平だけじゃなく、百名山の「鷲羽岳」「水晶岳」にも登る予定だったのだけど、悪天候で諦めて、さっさと下りてきちゃいました。
毎年、お盆休みが終わると天気って安定するのに、2022年の夏の天気はどうも、気まぐれ。
まあそれでも、雲ノ平の幻想的な風景は「おつ」だったし、鷲羽岳での強風も今思えば良い経験になったかな。それにコロナで苦しい山小屋に少しでもお金を落とせたしね。
そりゃ、晴れた方がイイに決まってるんだけど、たまにはこんな山旅もいいかもと思う今日この頃。
毎回こんな山旅は嫌だけど・・・(;^_^A)
来年は今年登れなかった鷲羽岳、水晶岳にリベンジしようかな。
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