私が登山靴に「ゴローのS8」を選んだ理由

登山

こんにちは、ロタケです。

 

前回は、普段履いていたキャラバンの軽登山靴が富士山の砂走りにやられて穴が開き、それでも山に行きたくて、人生初のレンタルシューズで南アルプスに行き、ひどい靴ずれにやられて、靴の大切さを痛感したという話を書きました。

結局、キャラバンの靴はサイドの生地が破れて修理ができないとの回答があったので、新しい登山靴購入の検討に入りました。

登山靴は、大きく分けるとアッパー素材が「革で作られた登山靴」と「ゴアテックスなどの丈夫な化学繊維で作られた登山靴」のものとがありますが、私が選んだのは、昔ながらの革の登山靴「ゴローのS8」です。

ゴローは東京の巣鴨にある登山靴専門店で、昔ながらの革の登山靴を作っているお店です。その中でも

スリーシーズンの縦走と、冬山は入門程度の山行に使用できます。

というモデルが「S8」で、知る人ぞ知る登山靴なのです。

私がなぜ「ゴローのS8」という登山靴を選んだのか?その理由を振り返りたいと思います。

有限会社 ゴロー
蝋を塗る前のS8

買ってきたばかりのゴロー。この革にロウ製の防水ワックスを塗っていきます。

使い込んだS8

何度もワックスを塗っていくとこんな感じになってきます。

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登山靴の種類

まず「ゴローのS8」について話をする前に、登山靴にはどのような種類があるのかを確認していきましょう。

登山靴は、大きく分けると「アッパーの素材」「ソールの固さ」「足首部分の長さ」で種類が分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の登山スタイルに合わせて選んでいくことになります。

アッパー素材

化学繊維(ゴアテックス)

現在の登山靴の主流の素材だと思います。丈夫で、耐水性能が高い上に、通気性があるので足が蒸れにくく、靴ずれが起こりにくくなっています。革に比べて軽量なのも特徴で、性能が良い分、多少お高いのが玉にキズです。

化学繊維(ゴアテックス以外)

ゴアテックスのものに比べ、価格が安いのが特徴ですが、耐水性、通気性が少し劣ります。とりあえずお手軽に登山を始めたいという人にはいいと思います。

堅牢さや耐水性能では、化学繊維のものよりも格段に上です。また手入れは必要ですが、長く使えるという利点もあります。欠点としては、足に馴染むまでに時間がかかることと、とにかく重いこと、値段が高いことです。

ソールの固さ

どういった山を、どのように歩くのかでも、ソールの固さのチョイスが変わってきます。

ソールが柔らかい登山靴

ソールの柔らかい登山靴もありますが、それでもスニーカーに比べると固く作られています。荷物が少ない登山や岩場歩きの少ない登山に適しており、歩くとソールが曲がるので運動靴に近い感覚で履くことができます。荷物が10キロ未満の場合や、登山にスピードを求めるなら柔らかいソールの方が快適だと思います。

ソールが固い登山靴

ソールが固いとデコボコの道や岩場でも歩きやすく、そして疲れにくくなると一般的には言われています。また、荷物が15キロを超えてくると、柔らかいソールだと不安に感じてくると思います。荷物が多くなるテント泊や長期の登山には、ソールが固い登山靴の方が安心して歩けると思います。ただソールが曲がりづらいので歩くのには慣れが必要になってきます。

ただ個人的には柔らかいソールの方が、凸凹の道でも、岩場でも歩きやすいと感じますし、疲れやすさにもあまり差を感じませんので、人それぞれ好みが分かれるところかもしれません。

足首部分の長さ

ローカット

スニーカーと同じ形です。足首が自由になるので軽快で歩きやすいですが、その一方で捻挫の危険性は高まります。
トレランの方々はこのローカットタイプの登山靴を好んで履かれますが、個人的には山の中でこのタイプの靴を履くべきではないと思っています。

ハイカット

本格的な登山にはハイカットの靴になります。足首をガッチリと固定されるので、捻挫に強く、特に重い荷物を背負った時には安心感があります。ただ足首が固定されているので、歩くのには慣れが必要です。

ミドルカット

ローカットとハイカットの中間です。足首周辺にサポートがあるので、捻挫や怪我にも強く、登山靴に慣れていない人でも歩きやすいと思います。まず最初に購入するならこのミドルカットの登山靴をおすすめします。

登山靴の選び方

初めての登山靴

自分自身がまずどのような登山がしたいのかを考えて、その目的に合った登山靴を買うというのが一番ですが、初心者のうちはどのような靴を買えばいいかわからないですよね?
ですので初めて登山靴を買うような人は、まずは「歩きやすくて」、「怪我しにくい」ということポイントに選んだ方がいいと思います。
ソールが固すぎず、怪我しにくいミドルカットの登山靴がおすすめになります。

2足目以降の登山靴選び

2足目の登山靴の購入を考える頃には、おそらく自分のやりたい登山というものがある程度わかってくると思いますので、その山行スタイルに合った登山靴をチョイスするといいと思います。
基本的には長期登山やテントでの登山など、荷物が重たくなればなるほど、足首の深さが深くなり、ソールも、より固いものを選ぶといいと思います。

私が「ゴローのS8」を選んだ理由

登山靴の種類と選び方を確認してきましたが、最終的になぜ私が「ゴローの登山靴 S8」を選んだのか、その理由をお話しします。

ちょうどこの「ゴローのS8」を購入しようとしていた頃、山小屋利用から、テントを担いで登るスタイルへ登山スタイルを変更しようと考えていました。

それと、生まれてこの方、捻挫などしたことはないのですが、年齢的にも50歳という大台に乗ろうとしていたので、より怪我をしやすいカラダになってくるだろうと。

さらに一人で山に登るスタイルですので、絶対に怪我をしてはいけないということも、重要な要素でした。

そこで私は、
「重い荷物を背負っても安心感のある堅牢なつくりであること」
「怪我をしにくいミドルカット以上であること」

という2つのポイントを最重点に考えて登山靴を探しました。

ただこの2つのポイントだけでは、まだまだ候補が多すぎて、絞りきれなかったというのが本音のところ。
それではなぜ、たくさんある登山靴の中から、「ゴローのS8」という独特の登山靴を選んだのか、その決め手をお話しします。

ゴローS8

オーダーメイドなので足に合う

ゴローが作る登山靴の最大の特徴は、オーダーメイドと言う点です。私の足の特徴は外反母趾で親指と小指の付け根部分が外側にふくらんでいる、いわゆる幅広の足。そのため既成の登山靴を履くとどうしても、その部分が靴に当って、痛みがでてきます。

ゴローでは、まず客の足型をとってから、それに合わせて登山靴を作ってくれます。あと作ったあとでも、「この部分が当たって痛い」と伝えると、革を広げたり、ベロの綿を抜いたりと、色々と調整もしてくれるんです。

当然革なので、自分の足型に徐々に馴染んできて、長く付き合えば付き合うほど、自分の足に最適な一足になってきます。このあたりは化学繊維の登山靴では、なかなかマネのできないところだと思います。

安心できるミドルカット

ゴローの登山靴はオーダーなので、足首の深さを好みに合わせて注文することができます。

単独行の私にとっては、足首の怪我は絶対に避けないといけないところ。ただあまりにも足首を固めすぎても、歩きにくくなったりするので、私はミドルカットのものを注文しました。

実際に重い荷物を背負って歩いてみても、しっかりと足首が守られていて、まったく不安を感じません。

安心のビブラムソール

S8には、ブラム社製のソールの中から、頑健な登山靴に使われる「1230A-9」というソールが使われています。

かかと部分にショック吸収性に優れたゴムが入っているため、ビクともしないような強さがあるにもかかわらず、柔らかい着地を実現しています。グリップも良くて、重い荷物を背負っても、安心のソールです。

安心の耐水性能

ゴアテックス製の登山靴も持っていますが、連日雨に降られると、繊維の折れ目付近から水が染みこんでくることがあります。ただこのS8に、そんな心配はまったくありません。

当然、ロウ性の防水ワックスを革に染みこませてやるという手間があっての防水性ですが、一滴たりとも水の浸入を許さず、驚きの防水性を見せてくれます。ぬかるみでも何の躊躇もなく足を置けるので、歩いていても本当に楽です。

とにかく頑丈なつくり

アルプスなどの岩稜歩きをしていると、岩にガンガンあたったり、逆に岩と岩の間に靴を突っ込んで支えにしたりと、化学繊維の登山靴では多少不安に感じるようなシチュエーションでも、まったく気にせずに使えます。

岩などに当ったり、挟まっても変形などしませんし、破れる心配もありません。本当に丈夫に作ってあるので、長期に渡る山行でも不安なく履けると思います。

手入れをすれば10年以上履ける

ソールの張替えや修理は随時やってくれます。ちゃんと手入れをしていれば、普通の会社員が休日に登山をする程度であれば10年は余裕で持つと思います。高い買い物かもしれませんが、トータルで考えるとお安くなると思います。

見た目が綺麗

これは完全に好みの問題だと思いますが、しっかりと手入れされて使い込まれた革製品というのは、独特の美しさがあるように思います。年季の入った昔ながらの革の登山靴を使っている人を見ると、「渋いなぁ」って思いません?使い込むほど綺麗に渋く見える。革の登山靴の素敵なところだと思います。

S8

絵になるんです。

他の登山客に「ゴロー」ですよね?と話しかけられる

テン場とかで「ゴローの靴ですよね?」って声を掛けられて、そこから話が広がるケースが何回かありました。ゴローの登山靴が有名ということもあるのでしょうけど、やはり登山靴の中でも異彩を放っているからなんでしょうね。

皆さん、すごく興味がある感じで、羨ましそうに話しかけてこられるので、自分の手柄ではないですが、少しうれしくなってしまいます。

ゴローの登山靴の残念なところ

ゴローの登山靴のいいところばかりお話ししてきましたが、当然残念なところもあります。

とにかく重い

足の大きさにもよりますが、片足1キロは優に超えてきます。最近の化学繊維の靴の2倍以上の重さになります。そのため軽い登山靴を履いて歩く時にくらべて、間違いなく登坂スピードは落ちます。私的には、化学繊維の登山靴の1.1~1.2倍のスピードになるぐらいの感覚です。

初めてS8を履いて山を歩いた時は、正直なところ「買って失敗だったか?!」と思ったくらいです。

履いているうちに慣れてくるのですが、今どきのウルトラライトとは真逆の商品だということをしっかり考えてから買わないと後悔すると思います。

手入れが面倒

登山から帰ったら、

①綺麗に水洗いをして 

②陰干しでよく乾かして 

③防水ワックスを靴全体に薄く塗って 

④20分くらい待ってから 

⑤靴ブラシでかなり力を入れて磨き倒す

⑥10回に1回は栄養ワックスを塗ってやる

といった作業をしてあげないといけません。
そういう手入れが苦痛に感じるなら、この靴の購入は諦めた方がいいかもしれません。

足に馴染むのに時間がかかる

オーダーメイドの靴ですが、完全に足に合うなんてことはないです。

ゴローのHPでも

ゴローでは採寸して足型を取り、注文に合わせて靴をつくりますが、「100%足に合うもの」をつくるのは困難です。ゴローの熟練した職人でも、足当たりの微妙なタッチの全てはくみ取れないからです。
但し、理想のフィーリングに近づけるための手直しは可能です。足当たりの「キツさ」、「硬さ」などは、芯を抜いたり皮革を伸ばしたりすることで調整いたします。

と書かれています。

私の場合、延べ山行日数でいうと20日くらいで、ようやく足に馴染んできたかなって感じるようになりました。

それまでは、何カ所か水ぶくれになったりもしましたので、そのくらいの期間は我慢がいることを覚悟しておいた方がいいと思います。

足裏が痛い

インソールの下は固い木になりますので、私は長時間歩くと母子球付近が痛くなりました。

ゴローにも相談したのですが、靴下を厚くするしか方法はないと言われ、靴下を厚いものに変更したり、2枚履いたりと色々と試してみましたが、なかなか解決に至りませんでした。

今はインソールを2枚入れることで痛みはまったく出なくなりましたが、普段から足裏に痛みが出やすい人は、何らかの対応が必要になるかもしれません。

まとめ

「ゴローの登山靴 S8」のインプレ、いかがでしたでしょうか?

正直良いところばかりではありません。メリットもあればデメリットもあります。

日帰り登山など荷物が少ない時は間違いなくオーバースペックです。ただ荷物が重い時や長期山行、どしゃぶりの雨の中での登坂など、シチュエーションが厳しくなればなるほど、その安心感は増していきます。

じっくりと付き合えば、あなたの足に最適な一足になると思います。クセは強いですが一度検討してみてはいかがでしょうか?

ゴローのS8

馴染んでくると本当に気持ちよく歩けます。

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