こんにちは、ロタケです。
夏の最盛期に北アルプスの室堂から槍ヶ岳を目指す山行を計画したのですが、夏の最盛期の山小屋って苦痛以外のなにものでもありませんよね。
そこで30年ぶりにテント泊での山行を決心したわけですが、肝心のテントを購入しようと思って調べてみると、昔とは違って色々なメーカーからテントが発売されています。
軽さ、広さ、快適さ、丈夫さ、デザインなどなど、選ぶ基準は色々あると思いますが、私が最終的に選んだのは「ダンロップのVS20」というテントです。「なぜダンロップのVS20を選んだのか?」その理由を振り返ります。
山岳用テントの種類
まず山岳用テントにはどのような種類があるのかを確認してみましょう。
大雑把に分けると「フライシートの有無」「3シーズンか冬山も可能か」「スリーブ式か吊り下げ式」「入口の向き」で種類が分かれます。それぞれに一長一短があるので、自分の登山スタイルに合わせて選ぶことになります。
フライシートの有無
シングルウォール(フライシートなし)
1枚の防水透湿素材でできていてフライシートがないタイプのテントです。フライシートがないため、「コンパクトさ」と「軽量さ」にすぐれます。
ただ前室がないので、荷物は基本テントの中に入れる必要があり、空間的には狭いです。あと、密封性が高いので、結露が多くなります。
ダブルウォール(フライシートあり)
テント本体の上に雨よけのフライシートをかぶせるタイプのテントです。テント本体よりフライシートの方が大きく、突き出た部分を前室として使用することができます。
前室がある分、「空間が広く」、「快適」に過ごせますが、当然重量的には重たくなります。
「3シーズン用」か「冬山も可能」か
3シーズン用
厳冬期に使用しないことを前提に作られているので生地が薄く、軽量です。またメッシュも多く使われていて、夏場など暑い季節をより快適に過ごせるようにできています。
ただオールシーズン用と比べると、丈夫さでは劣ります。
オールシーズン用(冬山も可能)
「外張り」を張ることで厳冬期も使用できるようになりますが、もとの生地にも厚いものが採用されています。
そのため、「外張り」がなくても比較的寒さに強く、生地も厚いため丈夫に出来ています。ただ当然ですが重量は重くなります。
組み立て方式
スリーブ式
テントの外側に筒状の生地(スリーブ)が縫い付けられており、その筒状の生地(スリーブ)にポールを通していくことで、テントが自立します。
メリットとしては片側からポールを通して一気に立てられるため、慣れればより素早くテントを立てられます。そのため、登山用テントの多くはこのスリーブ式を採用しています。
デメリットとしては、フライシートとの距離がとりづらく、通気性が若干劣るということと、組み立てに慣れが必要だということです。
吊り下げ式
テントポールを先に組み上げてから、テントの生地をポールに引っ掛けていく方式です。
組み立てが簡単で、本体とフライの距離をしっかりとれるため通気性が高いです。「ダンロップ」はこちらのタイプです。
入口の向き
短辺に出入り口
短辺側に出入り口があるメリットは、風に対して強いことと、狭い場所に立てやすいことです。
テントは出入り口を風下に向けて立てることが基本ですが、風の影響を受けにくい短辺を風上に向けることができます。
また短い辺の幅だけ取れればテントに出入りできるので、狭い場所にも立てやすいというメリットがあります。ただ前室は小さくなります。
長辺に出入り口
長辺に出入り口があるタイプは前室が大きくとれるので、荷物が置きやすいです。
デメリットとしては、2人以上で使う場合、奥の人は入口に近い人を越えないと出入りできませんので、少し面倒に感じると思います。
山岳用テントの選び方
どんなテント泊登山をするのか、しっかりとイメージしよう
結局のところ、どういったテント泊の登山をしたいのかを、しっかりとイメージすることが大事だと思います。
テント泊でも人によって楽しみ方は様々です。食事に凝りたいので、それ以外の装備は極力軽くしたい人もいれば、風の強いアルプス登山がメインの人。夏の低山を楽しみたい人など様々です。
装備を極力軽くしたいのであれば、シングルウォール。
風が強いところなら、短辺が入口になったもの。
夏の低山なら、メッシュなどを多く使った通気性の高い吊り下げ式をチョイスするといった感じです。
それぞれのテントの特徴を理解して、より自分の登山にあったテントを選びましょう。
私が「ダンロップのVS20」を選んだ理由
山岳用テントの種類と選び方を確認してきましたが、最終的になぜ私が「ダンロップのVS20」を選んだのか、その理由をお話しします。
私自身がどんなテント泊の登山をしたかったというと、「日本アルプス」に「単独行」で「2泊以上7泊未満」の「縦走登山」を考えていました。
そこで標高の高い日本アルプスの尾根筋でも安心して幕営できるということが必須で、テントに求める絶対条件として「風に強く、丈夫であること」を最優先事項としました。
その他のポイントとしては、長期に渡る山行になるため、「雨天でも快適にすごせる」こと。それから、私の身長が182cmと大きいこともあり、「居住空間が広いこと」もポイントでした。
山岳テントとして絶大な人気を誇る「アライテントのエアライズ」「モンベルのステラリッジ」と比較しつつ、なぜ「ダンロップのVS20」を選んだのか、その理由をお話しします。
安心、安全の山岳テントとしての実績
安全で、丈夫という山岳テントにとって一番重要なポイントを優先した結果、生地の薄いウルトラライトなテントは真っ先に対象外になりました。
あと山岳テントとして実績あるメーカーのテントは、やはり安心感が違うので、最終的には「アライテント」、「モンベル」、「ダンロップ」の三択になりました。
ただ正直なところ、この3社のテントでそれほど安全性に違いはないと思います。
設営が簡単
アライテントとモンベルは組み立て方式が「スリーブ式」で、ダンロップは「吊り下げ式」になります。
どちらもお店で実際に組み立てさせてもらいましたが、私はダンロップの方が組み立てやすかったです。
慣れてしまえば問題ないのでしょうが、「スリーブ式」は撤収の時にどうしてもポールを引き抜きたくなってしまい、スリーブの中ではポールがはずれてしまう感じがしました。
長辺に出入り口があり、前室が広い
長辺に出入り口があって、前室が広いのは、荷物が置きやすく、また雨の日の調理など非常に便利に使えます。
この荷室が広いおかげで、テント内が広く使え、身長の高い(182cm)私でも、余裕で過ごせました。
長辺に出入り口があり、寝ながら景色が眺められる
ささいなポイントなのですが、長辺に出入口があると寝ながらでも横を見ると外の景色が眺められます。短辺側に出入り口だと、寝ころがってしまうとテントの壁しか見えません。
テン場でゴロゴロする時間って意外に長いですよね。天気のいい日は入口をオープンにして、寝っころがりながら最高の景色を眺める。おすすめポイントです。
グランドシートとの併用が不要
アライやモンベルに比べると、テントの底の生地の厚さに差があります。
モンベルが30デニール、アライテントが40デニールとグランドシートを併用することを前提に作られているのに対し、ダンロップは約2倍の厚さの70デニールの生地を採用しています。
メーカー的にはグランドシートも販売していますが、グランドシートなしでも十分使用に耐えます。(私はグランドシートを使用していませんが、今のところ破れるような雰囲気もありませんし、余程の雨じゃないと染みることもありません。)
グランドシートを持たなければ、アライテントやモンベルと比較しても重量的にも、金額的にも差はありません。
テント場で見つけやすい
青いフライシートは意外に目立ちます。一瞬で自分のテントを見つけることが出来ますよ。
他の登山客に「ダンロップって渋いですよね」と話しかけられる
テン場で
ダンロップのテントって、渋くてかっこいいですね
と声を掛けられて、そこから話が広がるケースがかなりあります。
ダンロップのテントが少数派だということや、昔から登山をされていた方にとっては、このブルーとオレンジのダンロップの山岳テントって、かなり懐かしい存在なんだと思います。
皆さん、とても羨ましそうに話しかけてこられるので、少しうれしくなってしまいます。
「ダンロップのVS20」の残念なところ
高さが100cmと少し低い
アライやモンベルは高さが105cmあるのに対し、100cmと微妙に低いです。どっちみち座っているか、寝ころんでいるのであまり気にはなりませんが、身長が高い人にとっては少し煩わしく感じるかもしれません。
まとめ
「ダンロップテント VS20」のインプレ、いかがでしたでしょうか?
山岳用のテントって、日本製だけでなく海外製品にまで目を向けると、数が多すぎて何を選べばいいかよくわからなくなってしまいますよね。
山岳用のテントにはそれぞれ特徴があるので、その時々の山行スタイルに合わせて、複数を使い分けれるのが本当はベストな使い方なんでしょうね。
ただ最初の1張りは、アライテントやモンベルといったオーソドックスな有名どころのテントを買う方がいいと思います。やはり山岳テントで一番重要なのは、安全で壊れないということ。人気のあるテントには、山岳テントに必須の安全性がしっかりと備わっています。
安全で耐久性が高いという基本性能も備えつつ、独特の存在感を放つ「ダンロップのVSシリーズ」。
一度、お店でじっくりと見てみてください。中に入って横になったり、実際に組み立ててみるのもいいと思いますよ。
アライやモンベルもいいですが、私のおすすめは間違いなく「ダンロップのVSシリーズ」です。
ちなみに今はダンロップからプロモンテに名前が変わって販売されています。
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