北沢峠から早川尾根を縦走。栗沢山・アサヨ峰で大展望を楽しみます。

登山
宇多田ヒカルのCMでも使われた甲斐駒が迫力の「栗沢山」。マジでこんなキツイところ、宇多田は登ったのか??

こんにちは、ロタケです。

海の日の3連休を使って1泊2日で南アルプスに行きたいけど、混雑した山はイヤ。
そこで目を付けたのが、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山をつなぐ早川尾根

宇多田ヒカルのCMでも使われた甲斐駒が迫力の「栗沢山」から、大展望が広がる「アサヨ峰」を目指します。

3連休とは思えないほど人のいない、静かな山旅を楽しんできました。

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行程:2019/7/13(土)~7/14(日)

行程

スタートは北沢峠。仙水峠を経て、栗沢山、アサヨ峰を通り、早川尾根小屋でテント泊。翌日は広河原峠から広河原へ下山する1泊2日のルートです。

【1日目】

北沢峠(07:15)・・・長衛小屋(07:23)・・・仙水小屋(07:56)[休憩 5分]・・・仙水峠(08:25)[休憩 2分]・・・栗沢山(09:29)[休憩 15分]・・・アサヨ峰(10:41)[休憩 30分]・・・早川尾根小屋(12:47)

【2日目】

早川尾根小屋(04:51)・・・広河原峠(05:15)・・・広河原峠入口(06:30)・・・白鳳峠入口(06:33)・・・広河原(06:45)

総距離:約11km

累積標高差

上り:約1068m  下り:約1591m

コースタイム

標準:9時間18分 自己:6時間34分 (コースタイム倍率0.71)

地図

北沢峠から入るか、広河原から入るかで迷ったんですが、広河原から入って北沢峠に下山すると、バスの本数が少なくて車を置いている芦安温泉へたどり着くのにかなり時間がかかるんですよね。

芦安温泉と奈良田温泉から入山する場合は、一番乗り継ぎがスムーズな朝一番に、北沢峠まで入山するのが正解だと思います。

車でのアクセス

私は芦安温泉に車を置き、バスを乗り継いで北沢峠に行きました。関東からは一般的な入山方法だと思います。

芦安温泉駐車場

海の日の3連休だったので少し早めの到着を心掛けて、朝4時15分に芦安温泉に到着。比較的バス乗り場に近い第1駐車場(バス停から100mほど登る)に駐車できました。

到着が5時近くになるとバス停から遠い第4・第5駐車場になると思います。

バス券売り場

朝一番の5時15分発のバスに乗るために、4時20分にバス停へ。この時点で待っている人は20名程度。

芦安温泉~広河原は、バスか乗合タクシーで

バスか乗合タクシーのどちらかで広河原へ。

私はバスをチョイス。5時15分発の1番バスに乗るため、4時20分に乗車券を購入してバス待ちの列に。20番くらいでしょうか。

この日は3連休だったので、バスが5台出たんですが、1台目のバスに乗れました。後方に並んでいた人は座れずに、立って乗っていました。

バスの中

バスの中はこんな感じ。立って乗る人がそこそこいます。

広河原~北沢峠は、バスを乗り継いで

バスが広河原についたら、すぐに広河原行きのバスチケットを買って、バス待ちの列に並びましょう。もたもたしていると、列がどんどん伸びて、遅いバスになってしまいます。

この日は3台のバスが出ていましたが私は2台目に無事に乗れました。

北沢峠へのバス

北沢峠へのバスへ乗り換えます。急いでバス券を買って並んだんですが、乗合タクシーの方が早く到着するので。2台目のバスへ。

危険度★★★★☆

中上級者向けのコースだと思います。栗沢山から先、アサヨ峰を経て広河原峠入口までは、ところどころ登山道の整備状況が悪いです。

ハイマツが生い茂って登山道が隠れていたり、倒木がルートを塞いでいるところも多々。アサヨ峰手前のちょっとした岩登りも、何気に手強いです。

アサヨ峰

アサヨ峰手前の岩場。そんなボリュームではないですけど、何気にキツイです。

特に気を付けたいのが、広河原峠から広河原峠入口までの下山ルート。踏み跡も薄いし、ルートファインディングの技術もそこそこ必要です。

体力度★★★☆☆

2日で総距離11キロとたいした距離ではありませんが、ルートの整備状況が悪いので、体力・気力とも使います。

広河原峠からの下りは、傾斜もきつく、足にきます。

登山者遭遇度

北沢峠~仙水峠★★★★☆

仙水峠までは甲斐駒へ登る人気ルートだけあって、前後見えるところに必ず登山者がいる感じです。

仙水峠~栗沢山★★★☆☆

仙水峠から栗沢山になると一気に人が減ります。甲斐駒山頂は人だかりでしたが、栗沢山山頂は先客が3名だけでした。

栗沢山~アサヨ峰~広河原峠入口★☆☆☆☆

栗沢山からアサヨ峰はさらに人が減って、アサヨ峰から先は、ほとんど人には会いません。

ちなみに早川尾根小屋のテン場は、海の日の3連休の初日にもかかわらず、私を含め2張りだけ。

さらには、2日目の早川尾根小屋から広河原峠を経て広河原峠入口までは、誰ひとり会いませんでした。

早川尾根小屋・テン場情報

テン場

全部で10張り程度。綺麗に整地されて平です。視界なし。ドコモは圏外。水場は徒歩30秒。
3連休の初日に2張りだけなので、混雑して張れない心配は不要です。

テン場

小屋の前の綺麗に整地されたテン場。3連休なのに1張りもテントがない??

小屋

小屋番の人はおらず、完全に避難小屋状態になっていました。この日はトレランの3名だけが利用していたのかな。

早川尾根小屋

早川尾根小屋には小屋番の人はおらず。避難小屋状態でした。

おすすめ度★★☆☆☆

甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、鳳凰三山の大展望を満喫できます。北アルプスでいうと常念から蝶って感じでしょうか。

南アルプスは午後になると雲で展望がなくなることが多いですが、大展望が広がる栗沢山までは2時間もあれば登れるので、大展望に出会う確率は高いです。

特に甲斐駒の雄姿が迫力の栗沢山、北岳の大きさを実感できるアサヨ峰など、ちょっとビックリするぐらいの眺めを満喫できます。

寂しいくらいに人がいないのと、コースが荒れ気味なので、強いハートとそれなりの登山技術は必要なので、星は2つですが、なぜここまで展望のいい山に人が来ないのか不思議なくらいです。

栗沢山から

栗沢山からの眺め。北岳の向こうに間ノ岳、塩見岳が見えています。

ワンポイント

仙水小屋から早川尾根小屋までは水分補給ができません。
少し多めに水を持って行きましょう。

アフター登山

今回私は利用しませんでしたが、芦安温泉の第5駐車場の横にある「金山沢温泉」がおすすめ。ここのお風呂はそれほど大きくはないですが、内風呂と露天風呂があります。施設が新しいので、気持ちいいですよ。

金山沢温泉 - 山梨県 南アルプス市 -自然と文化が調和した幸せ創造都市-

ロタケの登山日記

(個人的な登山日記なので余計なことも色々と書いていますが、臨場感は伝わると思います。必要のない方は読み飛ばしてやってください。)

1日目

自宅~芦安温泉~広河原~北沢峠

海の日の3連休は、あいにくの雨予報。ただ連休初日だけは曇り時々雨と、午前中は楽しい登山ができそう。

横浜の自宅を2時30分に出発。
芦安温泉には4時15分に到着。3連休で混雑が予想されたが、バス停の近くの第1駐車場に案内された。

バスの乗車券を買い、列に並ぶと20番目くらい。
5時を過ぎるとバス待ちの列が一気に長くなる。

バス待ち

朝の4時半のバス待ちの列。まだそこまで並んでいません。

結局この日は5台のバスが出たようだが、1台目のバスに無事に着席。
列の後方の人は座れずに、1時間を立って乗ることに。

広河原で北沢峠行きのバスに乗り換え、北沢峠の到着は6時50分。
相変わらず人で溢れかえっています。

北沢峠

北沢峠は人で溢れかえってましたが、ほぼ仙丈か甲斐駒へ行く人。

登山届

トイレの壁にあるBOXに登山届を提出して、出発です。

トイレを済まし、登山届を出し、水を補給して出発です。

北沢峠~仙水峠~栗沢山

長衛小屋から栗沢山のルートは宇多田ヒカルのTVCMの舞台で、各所に撮影場所がでてきます。

長衛小屋のテンバ

長衛小屋のテン場。そこそこテントが張られています。

静かな森の道を進んで行くと、丸太の橋を渡るシーンや岩登りのシーンが撮影された現場が次々と現れてちょっと感動。

宇多田が渡った丸太の橋。

岩場

宇多田が登ったちょっとした岩場。

摩利支天とゴロゴロ岩

摩利支天と宇多田(?)が登ったゴロゴロの岩場。登山道じゃないんですけど。。。

傾斜が急になってきて、仙水小屋を過ぎると、これもCMで使われたゴロゴロの岩場が現れます。
そこでふと思う。

私

登山道から外れてるけど、宇多田、本当に登ったの?

 

しばらくして仙水峠に到着。甲斐駒と摩利支天の圧力が凄いです。

仙水峠

仙水峠から見上げる摩利支天。大迫力です。

仙水峠にぞくぞくと人が上ってきたので、そそくさと栗沢山に向かいます。

ここからは一気に人通りが少なくなって、道の状態も悪くなります。
かなりの急傾斜を息を切らしながら1時間ほど登ると栗沢山の山頂です。

栗沢山

栗沢山の山頂。かなりキツイ登りでした。

キツイ登りを終えて、またふと思う。

私

そこそこハードなこの山道。宇多田は本当に登ったの??

 

甲斐駒、仙丈、仙塩尾根、塩見、間ノ岳、北岳、鳳凰、八ヶ岳。
大展望が広がります。

仙丈

仙丈ヶ岳と手前が「宇多田岩」。こんな危険なところに宇多田を座らせるか??

山頂にはCMの最後に宇多田が座っていた岩があるんだけど、かなり不安定そうな岩。

私

あんな危ない岩の上に、本当に宇多田は座ったのか??

栗沢山~アサヨ峰~早川尾根小屋

栗沢山を後にして、アサヨ峰に向かいます。
このアサヨ峰への道はさらに荒れてます。

ハイマツが登山道を覆っていて、どこが道だかよくわからない。
ところどころで岩場を越えていくんですけど、ペンキの印もほぼ消えかけているので、かすかな踏み跡を見分けつつ進んで行きます。

なかなか歩きづらいハードな道ですけど、ずっと北岳や鳳凰を眺めながらの登山なので、気分はいい。

アサヨ峰

アサヨ峰まではハイマツと岩々の稜線です。左奥には鳳凰が。

岩場

アサヨ峰手前の手ごわい岩場。当然鎖はありません。いったいどこを登るのやら。。。

アサヨ峰のちょっと手前に4~5mくらいの岩場が立ちふさがります。
北アルプスなら絶対に鎖が設置してあるはずの岩場を、ホールドを探しつつ、3点支持で越えていく。

色々と神経を使う道に徐々に疲労感を感じつつ、アサヨ峰に到着。
さっきより雲が出てきた山々を眺めつつ、ゆっくりと休憩を取ります。

アサヨ峰

アサヨ峰山頂。奥は仙丈。

これから歩く道

これから歩く早川尾根。徐々に雲が出てきました。

ただ天気予報通り、もうすぐ雨が降りそうな雰囲気も。

名残惜しいですが山頂をあとにし、今日の宿、早川尾根小屋へ向かいます。ここのルートも整備が悪いです。
軽い藪漕ぎや倒木を越えながら進みます。

アサヨ峰からすれ違ったのは早川尾根小屋ですれ違ったのは3名のみ。静かな山旅を満喫します。

途中から森林帯に入って、視界がなくなり、さすがに疲れてきた頃に早川尾根小屋に到着です。

早川尾根小屋

早川尾根小屋に到着。3連休初日の南アルプスなのに、誰ひとりいません。

どうやら小屋は営業していないようで無人。テン場にも誰もいません。
「もしかすると今夜はこの場所で一人かも?」
そんなことを思いつつ、テントを設営。ちょうど雨が降り始めます。

テント

意を決して設営に入ります。

雨の中、テントに入ってウトウトしていると、どうやら隣でテントを設営する音が。。
「今夜は一人ではないみたい。。。(´▽`) ホッ」

2日目

早川尾根小屋~広河原峠~広河原峠入口~広河原

朝3時に起床。雨は降り続いています。
テント場は私のほかにはもう一張りだけ、山小屋の方も、3名ほどのトレランナーがいるだけのよう。

テント場

お隣にもう一張り。一人ではなかったようです。

4時50分下山を開始。
広河原峠まではあまりアップダウンのない歩きやすい尾根道。
ところどころに倒木があります。

20分ほどで広河原峠へ。

広河原峠

雨の広河原峠。ここから一気に高度を下げていきます。

広河原峠からの下り道には、地図を見ると最後の最後に渡渉が。。
「増水で川を渡れなかったら最悪かも」と考えつつも、白鳳峠まで行くのも面倒なので、意を決して下山を開始。

地図を見て想定はしてましたがかなりの急傾斜で下っていきます。
雨で濡れているし、道の整備は悪いわで、慎重に下ります。

雨で暗いし、踏み跡もところどころ消えかけてたりするので、ところどころで立ち止まってルートをしっかりと確認しながら下ります。

膝が笑い出しそうな感じになってきたところで砂防ダムが現れて、傾斜が緩みます。
心配していた渡渉も無事に通過するとすぐに登山口に到着。

広河原までの舗装路を余韻を楽しみながら歩きます。

広河原峠入口

広河原峠入口まで降りてきました。広河原のバス停まではあと少し。

広河原~芦安温泉~自宅

バスまでは時間があったので、「人数がそろったらタクシーを出してあげるよ」という乗合タクシーへ並ぶ。

ほどなく待つと、雨のために山から早々に引き揚げてきた人が9名そろったので、7時30分に出発。
芦安温泉には8時30分に到着。

広河原

雨の広河原バス停に到着

本当は温泉にでもいつもの金山沢温泉にでも入ってから帰ろうと考えていたんだけど、あまりにも早くついたので温泉の営業開始までまだ数時間も。

温泉は諦めて、一気に横浜へ帰ることに。
早い時間なので高速もガラ空き。10時30分には横浜に到着です。

風呂に入り、YouTubeで宇多田のCMを再視聴。

私

仙水峠手前の登山道から外れたゴロゴロ岩場と、栗沢山山頂の危なそうな岩の上のシーン。宇多田、後姿しか映ってないぞ。。。

私

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうか!影武者?!

私

本当は、ほとんど登ってないやんっ!!

宇多田のCMの後ろ姿はおそらく「影武者」。映像ってある意味凄いです。

まとめ

海の日の3連休を利用して、南アルプスの甲斐駒と鳳凰山の間をつなぐ早川尾根を縦走してきたというお話しでした。

あまり人気がなくて、人もあまりいないので登山道が少し荒れていてタフなコースなんですが、「静かな登山を楽しみたい」「南アルプスのオールスターを特等席から眺めたい」「宇多田ヒカルの南アルプスのCMが好き」なんて人には、おすすめのコースです。

栗沢山、アサヨ峰から見る百名山の数々は、本当に個性が際立っていて、何時間でも見ていられます。

特に栗沢山から見る甲斐駒とその前衛峰の摩利支天の迫力や、アサヨ峰から見る北岳の巨大な姿は本当に圧巻です。

私

「有名な山に登る」登山も達成感があって楽しいんだけど、「有名な山を眺める」登山も、案外いいかも。

そんな気持ちにさせてくれる登山でした。

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