こんにちは、ロタケです。
皆さんはどのような登山靴を履いていますか?
私はアッパー素材が革でできているゴローという会社が作っている「S8」という靴を履いています。
革製の登山靴は、いまどきのゴアテックス製の登山靴に比べて、堅牢性や耐水性で格段に優れた商品なので、重い荷物を背負うテント山行や長期山行の時には非常に頼りになる登山靴です。
ただこの夏に計画している岩場・鎖場が連続する後立山連峰の縦走に備えて、アッパー素材がゴアテックス製の「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」という登山靴を購入しました。
なぜ「ゴローのS8」を持っているのに、「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を購入したのか。その理由と実際に「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を履いていくつかの山を歩いてきたので、そのインプレをご紹介します。
※革の登山靴「ゴローのS8」についての詳しいインプレはこちらの記事をどうぞ。
「ゴローのS8」を持っているのに「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を購入した理由
革の登山靴「ゴローS8」に変えて、ゴアテックス製の「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を購入したのですが、「ゴローS8」が悪いということではなく、革の登山靴にはどうしてもウイークポイントがあるんです。
革の登山靴は重いんです。
革の登山靴は、素材が革だけにどうしても重量が増えがち。私の持っている「ゴローのS8」という登山靴は、片足で1キロは優に超えてしまいます。最近の化学繊維の靴の2倍以上の重さです。
登山靴が重いことで、起こる問題は以下の通り。
重いと歩行速度が遅くなる
重い登山靴では、軽い登山靴を履いて歩く時にくらべて、間違いなく歩行スピードが落ちます。
化学繊維の登山靴の1.2倍ぐらいの感覚だと思います。
重いと操作性が悪くなる
加えて、重量があることで、操作性も悪くなります。
靴の操作性というと分かりづらいかもしれませんが、簡単に言うと、狙ったところに足を置くのが難しくなるということ。
岩がゴツゴツした岩稜帯やガレ場などを歩くとき、狙ったところに足を置けずにバランスを崩すことってありません?狙ったところに足を置くためには、軽い靴の方が操作性は高くなるんです。
革の登山靴は靴底が固いんです。
革の登山靴の靴底は、靴底が固くなりがち。靴底の素材自体は化学繊維の靴と同じものを使用していてもアッパー部分の素材が固いことで、「しなり」が少なくなります。
靴底が柔らかい方が滑らない
北アルプスなどの岩稜帯では、頑強な作りの登山靴が適していると、一般的には言われています。
おそらく皆さんも、登山用具店でそのような説明を受けたと思いますが、いざ岩場を登ったりする時に、「運動靴の方が登りやすいんじゃない?」って感じたことはありませんか?
「静止摩擦係数 × 面積 × 加重=フリクション」という法則があります。
よりすべりにくい素材で、より広い面積を岩に接地し、より強い力で押しつけることで、滑りにくくなるということ。
岩登り専用のボルダリングのシューズを触ったことがある人は分かると思うんですけど、ボルダリングシューズって、ソールが凄くしなりますよね。あれは、接地面積をより広くするための工夫なんです。
岩稜帯を歩くときに疲労が少ないのは頑強な作りで靴底がたわまない登山靴ですが、岩場を登る時により効力を発揮するのは靴底が柔らかく「しなる」登山靴ということになります。
革の登山靴の弱点をまとめると。。。
革の登山靴の弱点をまとめると、重いことによる「歩行速度の低下」と「操作性の低下」、靴底がしなりにくいことによる「岩場でのグリップ力の低下」です。
当然、革の登山靴にも多くの長所があるので、場面、場面で使い分けをすればいいのだと思いますし、実際に革の登山靴でも上手に岩稜帯をクリアしている方も多いです。
ただ私自身は、今回計画している山行を、革でできた重たくて固い登山靴で行くのは少し不安を感じたんです。
そこで、アッパー素材がゴアテックス製の登山靴「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を購入するに至りました。
「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」のインプレ
イタリアのメーカー「スポルティバ」。
しっかりとした作りで、日本人の足型にも合いやすいので履いている人を良く見かけます。
特にこの「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」は、高い機能性とデザインの良さから、スポルティバの中でも1番人気かもしれません。
「人気があるのはいい商品だから」との発想で購入した「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」ですが、北アルプスでデビューさせる前に、色々と歩いてみました。
鎌倉アルプス、金時山、八ヶ岳を歩いて、やっと足に馴染んできた感じがするので、さっそくインプレしたいと思います。
軽いです
私って足がデカくて28cmあるので、普通の人よりも靴が重いんですよね。なので革の登山靴だとかなり重くなるんです。
今まで履いていた革の登山靴「ゴローS8」の片足の実測値が1400グラム。
一方の「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」は900グラム。
その差はなんと500グラム。
正直なところ「ここまで劇的に変わっちゃうの?」ってビックリするくらい履いた感じが違います。
この「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」、履いていて重いという感じはないですし、歩行スピードが大きく落ちることもありません。また重すぎて狙ったところに足を置くのに神経を使うなんてこともありません。
この「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」より軽い靴はいっぱいありますけど、この重量なら十分合格点をあげられると思います。
適度にしなって、岩を捉えます
岩場でのグリップや操作性が気になって、この「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」の購入したので、私にとっては一番気になるところ。
アッパー部分が柔らかい素材なので、革の登山靴と同じビブラムソールなのにかなり柔らかく感じます。
その軽量さで的確に狙ったところに足をおけて、しかも適度にしなるので、設置面積も稼げる。また柔らかすぎるというほどでもないので、つま先立ちも難なくこなせます。
岩場でも安心して使える登山靴を探していた私にとっては、大満足の性能です。
堅牢さは85点。。
革の登山靴からゴアテックスの登山靴に変わって、一番不安なのがその堅牢さですが、
この「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」、かなり丈夫な作りです。
ぶつけやすいところや可動部分には補強がしてあるので、岩に足をぶつけたり、岩の隙間に足をつっこんだりなんてことも、躊躇もせずに出来てしまいます。
富士山の砂走りみたいに靴全体が擦れて痛んでしまうようなシーンでは使いづらいですが、それ以外のシーンでは十分すぎるほどの堅牢さだと思います。
耐水性は及第点。。。
雨の中を1日歩くと、内側まで濡れてしまったゴアテックス製の登山靴をひとつ持っているんですよね。(フランスのSから始まるメーカーのものですけど、半日雨の中を歩いたら、靴下までビショビショになりました。)
ゴアテックスって素材自体は防水なんだけど、どうしても皺になりやすい可動部が弱くて、そこから雨が染みこんできちゃう。
「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を履いて、半日ほど雨の中を歩いたんですけど、浸水は見られなかったです。
ただベロのあたりの撥水が弱まって、「ちょっと染みてる?」って感じになったので、もっと激しい雨だったり、長時間だったりしたら、多少は濡れるのかもしれません。
さすがに耐水性では革製の登山靴にはかなわないですが、それでも100点満点で70点はあげられると思います。
まとめ
私が革の登山靴「ゴローのS8」を持っているのに、「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」を購入した理由を記事にしてみました。
私にとっては、夏の北アルプス、特に岩場の多い後立山や剣などへ行く時は、ゴアテックス製の「スポルティバ トランゴ S エボ GTX®」の方が、革製の登山靴「ゴローS8」よりも、安心できるという結論です。
革製の登山靴の長所である「堅牢さ」や「耐水性」よりも、ゴアテックス製の登山靴の長所である「軽量性」や「グリップ力」に軍配が上がったということになります。
ただ、すべての山行でゴアテックス製の登山靴をチョイスするということでもないです。
テントを担いで南アルプス主稜線を縦走するなら、革の登山靴「ゴローS8」をチョイスすると思います。
革製の登山靴にもゴアテックス製の登山靴にも、それぞれ長所・短所があって、行く場所のシチュエーションや季節に合わせてそれぞれ使い分ければ良いということだと思います。
登山靴を何足も持つのは贅沢かもしれません。
ただ次の登山に履いていく靴に不安を感じているなら、革やゴアテックスなど素材の違う登山靴を買ってみるのも、解決策になるかもしれません。
参考になれば。。。
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