椹島から千枚岳・悪沢岳・赤石岳をぐるっと巡ります。「富士」と「太陽」と「虹」のコラボに大感激です。

登山
赤石岳からこんなに綺麗な富士山が見えるんです。

こんにちは、ロタケです。

南アルプスの南部って入山に時間がかかるので、行きたくてもなかなか行けない山域ですよね。今回は夏期休暇を利用して、お盆明けの南アルプスへ行ってきました。

椹島から千枚岳・悪沢岳を経て、荒川小屋で1泊。翌日は、赤石岳に登って椹島に下山するルートです。

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行程 2016/8/19(金)~8/21(月)

【1日目】晴れ
静岡駅(09:50)-しずてつジャストライン(バス)-畑薙第一ダム(13:50)(14:25)-東海フォレスト(バス)-椹島(15:30)

【2日目】雨
椹島ロッヂ(04:25)・・・滝見橋・・・吊橋・・・小石下・・・清水平(06:57)・・・蕨段(07:28)・・・見晴岩・・・駒鳥池(08:26)・・・千枚小屋(09:00)・・・千枚岳・・・丸山・・・悪沢岳(東岳)(11:10)・・・中岳(12:09)・・・前岳・・・荒川小屋(13:35)

【3日目】晴れ
荒川小屋(04:50)・・・大聖寺平・・・小赤石岳(06:15)・・・赤石小屋分岐・・・赤石岳(06:56)・・・赤石小屋分岐・・・北沢源頭・・・富士見平(08:27)・・・赤石小屋(08:52)・・・カンバ段・・・椹島ロッヂ(11:30)
椹島(13:00)-東海フォレスト(バス)-畑薙第一ダム(13:55)(14:25)-しずてつジャストライン(バス)-静岡駅(17:30)

コースタイム

標準:975分 、今回:840分(コースタイム倍率0.86倍)

地図

概要

水平移動距離 約27.3km  積算標高差上り:約3,727m下り:約3,727m

アクセス(静岡駅からバスで)

静岡駅からバス2本を乗り継ぎ

静岡駅から「しずてつジャストライン」のバスに4時間乗って畑薙駐車場まで。そこから「東海フォレスト」のバスに乗り換えてさらに1時間。

登山口の椹島に着くのは15:30とたっぷり1日かかります。しかもこの2つのバス、予約制なのですが、予約の取り方がわかりずらいです。

しずてつジャストライン ~静岡駅から畑薙第一ダムまで

静鉄バスのHPのどこを見ても直に申込みができません。

発車オーライネット」なるサイトから申し込む必要があります。このサイトにたどり着くだけでもかなり疲弊します。(東京からは「まいたび」の「あるぺん号」も出ているので東京近郊の方はそちらを使った方が楽かも・・・。)

東海フォレスト ~畑薙第一ダムから椹島まで

登山口の椹島までは「東海フォレスト」の送迎バスを使いますが、この乗車システムも変わっています。

10名未満だと特に予約の必要はありませんが、バスに乗るには東海フォレストが経営する山小屋に宿泊することが必須になります。

最初にバスに乗る時に「宿泊施設利用券3000円」なるものを買うと、この券が宿泊代金の一部になるというものです。ちなみにこの「宿泊施設利用券」を購入すると送迎バス代は無料になります。

なのでテント泊の人はバスに乗れないということになりますので、どこか1カ所だけでも小屋への宿泊(素泊まり可)が必要になるのでご注意ください。

(参考)駐車場の混雑度

私が行ったのはお盆過ぎでしたが、駐車場はガラガラでした。

危険度★★★☆☆

千枚岳から悪沢岳へ向かう細い稜線で、一気に10mほど下るところがあります。鎖はなく、岩もゆるいので慎重に下りないと危険です。毎年何人か怪我をされるとのことなので、後ろ向きで3点確保をしっかり行って下りましょう。

赤石小屋分岐から赤石小屋への下りもところどころ危なそうなところがありますが、慎重に歩けば問題ないと思います。

全般的には危険個所も少なく、道もはっきりしているので普通に歩けば問題ないと思います。

体力度★★★★☆

通常は椹島から出発して山中で2泊するというのが一般的なようですが、健脚な方は1泊でも十分行けちゃうと思います。ただ一つ一つの山が大きく、アップダウンが激しいので、2泊した方が楽しめると思います。

私的には赤石小屋から椹島までの急な下りが一番こたえました。

登山者遭遇度★★☆☆☆

お盆明けだったからか、全体的にあまり人には合わない山行になりました。椹島を出発し、千枚岳を越え荒川小屋に着く間で、せいぜい20名程度の人としかすれ違いませんでした。

赤石岳山頂付近から赤石小屋、椹島まではさすがに人気で、50名程度の人とすれ違ったと思います。

小屋・テン場情報

荒川小屋

荒川小屋

なだらかな斜面に建つ荒川小屋

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混雑度

私は比較的到着が遅く逆にラッキーだったのですが、梯子を登った2階の20~30名くらい寝れるスペースに案内されました。最終的にはそのスペースに私を含めて4名だけしかおらず、快適すぎる山小屋生活を送りました。

1階も一人当たりふとん2枚分くらいのスペースが割り当てられていて、全然余裕な感じでした。

夕飯は全員が1回で食べきれたので、宿泊者は30名程度しかいなかったと思います。

食事

ここの名物はカレーで、おかわり自由です。男性陣はほとんどの人がおかわりしていたと思います。

トイレ

母屋から30mくらい離れたところに綺麗なトイレが建っています。少し離れているので夜間や雨の時はつらいです。

その他

こじんまりした小屋ですが、しっかりとした作りの綺麗な小屋です。このルートは人気ルートですが、千枚小屋や赤石小屋に泊まる方が多く、ここは穴場的な山小屋で、その分空いていると思います。

ちなみに小屋の前から真正面に富士山が見えます。空いていて、小奇麗で、眺望が良く、飯も旨い。個人的には大好きな小屋です。

(参考)テン場

東海フォレストの送迎バスの関係上、小屋に宿泊する必要があるからか、広いテン場に二張りしかいませんでした。

ロタケの登山日記

(個人的な登山日記なので余計なことも色々と書いていますが、臨場感は伝わると思います。必要のない方は読み飛ばしてやってください。)

移動日:静岡~椹島

この日は自宅の横浜からじゃなく、実家の大阪からの山行だったので、始発の電車で出発。9時半に静岡についた時点で、既に移動時間は4時間越え。すでに疲れが出ています。

駅の売店で昼食を購入。駅北側のロータリーに向かいます。

バスは静岡駅から2度ほどトイレ休憩をいれつつ、およそ4時間走ります。バスは4割くらいしか客がおらず、1人で2席を使って快適に過ごせました。
ただ4時間は長すぎる。。。

やっとのことで畑薙第一ダムについたのですが、すぐに東海フォレストのバスに乗れるわけじゃありません。
東海フォレストのバスがくるまで、炎天下で30分以上待ったでしょうか。

しかも今度は小さなマイクロバスです。

登山者の数に合わせて台数を調整するみたいで、結局2台のバスがでました。ここからガタガタの未舗装路を1時間走ります。

椹島ロッジについたのは実家を出てから10時間後の午後3時半。
さすがに疲れはてていたので、風呂に入って、ご飯を食べて速攻で寝ました。

ちなみにロッジと小屋があるのですが、私が宿泊したのはロッジの方。3人部屋ですごく快適でしたよ。

風呂あり・ゴミ箱あり・給湯器あり・ジュースの自販機あり・トイレ洋式ありと、ちょっとした旅館並み(言い過ぎか?)です。

(疲れ果てていたので写真がありません。すいません・・・)

1日目:椹島~千枚小屋

この日は、16時頃に雷との天気予報だったので、早出早着きがマストです。なので真っ暗な中、3時半に起床。暗い廊下で前日に調達したカップヌードルを食し、真っ暗な中、4時半に出発。

登山口を入り、つり橋を渡って、さらに暫くは暗闇の中での登山。ただ登山道ははっきりとしており、ヘッドライトの明かりでも問題なく歩けました。

しばらくすると徐々に白み始め、周りの景色も見え始めます。ただ山頂は雲に隠れており、「上の方は雨かも?」なんてことを考えながら歩いていました。

千枚小屋までは緩やかな登りが延々と続きます。森がどこまでも続き、風情があっていい感じです。私より早くに出発された方はいないようで、結局、登り始めて3時間くらいは誰にも会うこともなく、静かな森を堪能しつつ、淡々と高度を稼いでいきます。

こんな幻想的な森がつづきます

千枚小屋からの下山の人、数名とすれ違い、久しぶりの人に少しホッとしたところで、大粒の雨。急いで雨具を着込み、先を急ぎます。

千枚小屋到着は9時ジャスト。

雨脚が強かったので、先に進むか悩みましたが、まだ早い時間だったのと、風があまりなかったので、引き返すことも視野に入れながら先へ進みます。

(雨だったのでこの日は写真が一枚もありません。すいません。)

1日目:千枚小屋~悪沢岳

千枚小屋からはそれほど苦労することもなく千枚岳の山頂に。晴れていたら綺麗な富士山が見えるはずですが、残念ながら視界ゼロ。そそくさと次の丸山を目指します。

この千枚岳から丸山の間が今回の山行の中で一番の危険個所でした。

痩せた尾根は慎重に通り過ぎれば大丈夫ですが、10mほどの崖下りがヤバいです。

岩がもろい上に鎖もありません。浮石にも注意しながら3点支持で確実に下りていきます。(あとで中岳避難小屋のご主人と話をしていたら、先日もこの崖からおじいさんが滑落して骨折されたとのことでした。)

広い尾根になってきたと感じたら丸山に到着です。当然ここでも視界ゼロ。そそくさと悪沢岳に向かいます。

雨足に変化はなく、大粒の雨のまま。幸いなことに風はありません。

赤色のチャートの大きな岩の間を黙々と登っていくと、悪沢岳山頂直下の巨岩の上に、何やら動くものを発見!

猿です!

雨の降る標高3000mの巨岩の上に、悠然と座りながら、こちらをにらむ猿。

「キリマンジャロの山頂には力尽きて死んだ豹の亡骸ある」
そんな映画を思い出してしまったのはなぜなんでしょう。

猿

当然、こんな可愛らしい猿ではありません。大きな猿で、目を合わせるとヤバそうでした。

11時10分。雨の悪沢岳に到着。ここで千枚小屋をすぎてから初めて人に会いました。ただ百名山「悪沢岳」の山頂も視界ゼロ。中岳に向かいます。

1日目:悪沢岳~荒川小屋

悪沢岳山頂から中岳に向けて一気に高度を下げていきます。

晴れていれば、「またあそこまで登りかえすのに、そんなに下らなくても・・・」的な光景が眼前に広がるはずですが、幸か不幸か見えるのは100m先まで。結構な急坂を下りていきます。

かなり下ったはずですが、登りかえしはそれほどキツクありません。だらだらと登っていると、目の前に中岳避難小屋が。

中岳避難小屋には小屋番の方一人だけでした。

赤いきつねを頂きながら小屋番の方と話をしていると、北アルプスの「北の俣岳」周辺の雰囲気が素晴らしいと意見が一致し、妙に盛り上がります。

ここまで来れば今日の宿、荒川小屋まではあと少し。雷の鳴る前に小屋には着けそう。

前岳の山頂に寄り道し、あとはゆっくりとお花畑を降りて、予定の14時には30分早い到着となりました。

荒川小屋

荒川小屋。何気に穴場の小屋で、個人的にはかなり好きかも。

2日目:荒川小屋~赤石岳

この日は椹島から13時に出発する送迎バスに乗る前に、シャワーを浴びる時間を確保するためにも、早め早めの行動を心掛けます。

すぐに出発できるよう、トイレ、身支度を先に済ませておきます。

4時半からの食事を一瞬でたいらげ、小屋を出発したのは4時50分。

今日の天気は晴れ。台風が近づいてきているものの、見通しは抜群。澄み切った空気の中を気分よく歩きはじめます。

歩き始めて30分。大聖寺平あたりを歩いている時に後方から大轟音がします。

びっくりして振り返ると前岳の南斜面で大崩落が発生!土煙が上がっているのが見えて、続いてガラガラと崩れる音が何度も発生します。

土煙が見えます?

大崩落の瞬間を見るのは初めてでしたけど、山が刻一刻と姿を変えているという事実に、「一回一回の山行をしっかりと脳裏に刻んでおこう!」なんてことを感じてしまいました。

小赤石岳まではかなりの急登。一気に登り詰め、山頂から富士を望みます。

この赤石岳周辺から見る富士山って、本当に綺麗です。雄大で荘厳なたたずまいに、言葉も発せず、しばし見とれてしまいました。

小赤石岳山頂にいた人と富士山をバックに写真を撮りあいっこしていたら、太陽のまわりに虹があるのに気付いてさらに感動!「富士山」「太陽」「虹」のコラボって、すごくないです?!

一生忘れられないくらいの光景に出合えた感じです。

「富士山」「太陽」「虹」

小赤石岳より赤石岳を望む

赤石岳の山頂は人が多かったので、すぐに赤石岳避難小屋へ。

名物の小屋番さんが気さくに迎えてくれました。せっかくなのでオヤジさんの似顔絵が描かれた手ぬぐい購入したら、頼んでもいないのに小屋番さんとのツーショット写真を撮らされます。

強引ですが、誰とでも一瞬で距離をなくす、その気さくな人柄についつい笑みがもれます。この小屋が避難小屋にもかかわらず、人気な理由がよくわかります。

赤石岳非難小屋。一度は泊まってみたい小屋です。

手ぬぐいのおやじさん。かなり気さくな方で元気をもらえますよ。

2日目:赤石岳~椹島

赤石岳からは椹島に向け一気に2000m以上を下ります。

赤石小屋分岐から北沢源頭までの間に、何箇所か危ない場所があるものの、注意していけば問題いと思います。

赤石小屋に到着して、けっこう下りてきたと思いますがまだ500mしか下りていない事実。荷揚げのヘリを間近に見ながらパンとサイダーを補充し、気合を入れなおします。

ガンバ段からの下りはなかなかハードで膝が笑い出します。いい加減イヤになってきた頃、なんとか予定通り、11:30に下山できました。

このはしごを下りれば椹島に到着です

ロッジでシャワーを浴び、こざっぱりしたあとに頂くコーラと山菜そばは最高に上手かったです。

2日目:椹島~静岡駅

椹島から静岡駅までは4時間半のバスの旅ですが、疲労で爆睡してたので、往路ほど長くは感じませんでした。

無事に静岡駅について、一風堂でラーメンを食し、横浜行きの新幹線に飛び乗りました。

台風の影響で、下山の翌日から静鉄バスが運休に入ったらしく、一日下山するのが遅れていたらしばらく帰ってこれなかったと、ほっと胸をなで下ろしつつ、日常生活に戻りました。

ロタケのワンポイント

赤石岳避難小屋のご主人が言っていたのですが、この山域はどんなに朝晴れていても、昼には雲におおわれるのだそうです。

綺麗な景色が見れて、安全登山にもつながりますので、早出早着きでいきましょう。

アフター登山

椹島を出たら静岡駅までどこにも寄りません。椹島ロッジでお楽しみください。

まとめ

登山口の椹島まで丸一日かかるぐらい、なんとも山深い場所です。だからこそ自然も綺麗なままに残っているし、来る人も少なくて、別世界に足を踏み入れた感覚になります。同じ南アルプスでも北岳や仙丈岳といった眩い感じはなくて、ただただ大きい山の塊という感じです。

北アルプスのようにすぐに森林限界を超えるなんてことはなく、深い森の中を延々と歩いてやっと眺望に巡り合えます。次の山に向かうにも、山の大きさが半端ないので、嫌になるくらい下ってから登りかえします。本当に登り応えのある山塊なんです。

北アルプスのような明るい山々もいいですが、深い森と岩稜がとてつもないスケールで展開するこの山々。一度は体験してみるべきだと思います。超、おすすめです!

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